「東南角部屋二階の女」「真木栗ノ穴」/新文芸坐

池袋のいかがわしいお店をかわしながら、2本立てで西島秀俊を堪能してきましたよ。


取り壊し間近の古アパートに住む3人の男女(西島秀俊加瀬亮・竹花梓)が、モラトリアムから脱却していく物語。フィルターをかけたようなカメラが特徴的で、陽射しもやわらかい印象。頑張ってないわけじゃないのに、なんとなく毎日が上手くいかなくて不安で、しかも男性2人は無職。それでも希望を見つけて再生していく姿が、たんたんと描かれていて良かった。途中で西島・加瀬コンビが中学生女子に「格好良いじゃん」って言われるシーンがあったんだけど、「やっぱり格好いいよねー!だよねー!」とうはうはしてしまったよ。揺らいでいたアイデンティティを中学生が確信に変えてくれたよ。

真木栗ノ穴 [DVD]

真木栗ノ穴 [DVD]

ホラー、サスペンス、ラブストーリーと、見る人の環境によって如何様にもとれる作品。まあ原作はホラーでくくられてるみたいだけども。最初は真木栗のコミカルな動きに開場からも笑いが漏れてたけど、こんがらがる時系列や不条理な出来事にぞわっとする。夢か幻想かわからない世界に戸惑いながらも、真木栗が覗き見る隣の部屋に住んでいる女性がそれほど美人でなかったことが、生々しくリアルだった。


真面目すぎない役も好きだ。「山おんな壁おんな」の井口なんて最高だったー。青森なまりの左官工。なまってて職人で西島秀俊だなんて、好きな要素しかない!「純情きらり」の冬吾さんも。
そうか、これが方言萌えか!思えば、苦手だった松山ケンイチを好きになったのも、フリートークを見てからだ。SSMFで票を入れた山脇作品も完全になまりにぐっときていた。東京人としては方言にどこか惹かれるものがあるんだなあ。普段標準語なのに、ふとしたことで方言出たりすると堪らんもんなあ。